- 2024.12.17
-
舗装業界から解体業界へ参入した会社の取り組み事例とは?
平素より本コラムをご愛読いただきありがとうございます。船井総合研究所の加藤 篤です。
本日は、異業種からの解体事業参入で、増員0名、初期投資500万円で、合計見積獲得6800万円を達成したカネックス株式会社様の成功事例をご紹介いたします。 本事例は、解体事業への新規参入を検討されている経営者の皆様にとって、大きなヒントとなるはずです。特に、住宅会社や不動産会社の経営者の方々で、既存事業とのシナジー効果を模索し、2025年に向けた経営戦略を検討されている方には、大変参考になる内容です。ぜひ、最後までお読みください。
モデル企業様のご紹介
今回ご紹介するカネックス株式会社様は、鳥取県米子市に本社を構え、1957年4月創業、2023年度の売上は13億円の企業です。
生コン販売・アスファルト製造販売、産業廃棄物中間処理業といった建設関連事業のほか、コンビニエンスストアやカフェ、飲食店のFC運営など、多角的な事業展開をされています。
同社が解体工事業に参入されたきっかけは、既存事業との相乗効果が見込める事業での多角化展開を検討されていたためです。特に、参入コストが低く、立ち上げスピードが速く、必要人員が少ないという解体事業の特性が、同社の業績アップの好機となると判断されました。これは、現在の社会情勢や建設業界の動向を踏まえると、非常に賢明な判断と言えるでしょう。
解体事業の取り組み内容
カネックス様は、解体事業参入にあたり、徹底した戦略と実行力で事業を推進されました。以下に、具体的な取り組み内容をフェーズごとに分けてご紹介します。
<チラシ戦略>
●「解体工事×舗装工事」 を打ち出したチラシを作成し、2023年8月31日に初めて配布しました。
●チラシ配布エリアは、米子市、境港市、その他(伯耆町・南部町)に分け、各エリアでの反響数を測定しました。
○2023年8月31日の配布では、62,485部の配布に対し、17件の反響がありました。
○2023年10月5日の配布では、62,485部の配布に対し、10件の反響がありました。
○2023年11月9日の配布では、島根エリアを含む66,255部の配布に対し、9件の反響がありました。
●チラシには、同社の強みである舗装工事のメニューを掲載し、顧客のニーズに対応できる体制を整えました。
○具体的には、メインとなる「アスファルト舗装」に加え、「ライン引き」のメニューを設けました。
○顧客のニーズとしては、「水たまりが溜まるので再舗装したい」「ひび割れしてきたので補修したい」「白線が消えかけてきたので補修したい」といったものが挙げられます。
○ライン引きのような小工事をメニューに入れることで、アスファルト再舗装の提案に繋げることができ、顧客の掘り起こしに繋がっています。
●チラシ配布は、同社の解体事業における主要な集客チャネルとなりました。
<メニュー設定>
●解体工事のメニューとして、木造住宅解体、鉄骨造解体、プチ解体の3つを設けました。
●これに加えて、同社の強みである舗装工事もメニューに加えることで、顧客の様々なニーズに応えられるようにしました。
●自社の強みを活かすことで、競争優位性を確立しています。
<その他の取り組み>
●採用サイトと採用Instagramを活用し、新卒採用にも注力しています。これは、将来の事業拡大を見据えた重要な戦略です。
2023年9月から11月にかけて、解体事業の実績を測定しました。見積件数は40件、契約件数は9件、契約率は40%、平均客単価は139万円という結果でした。この結果から、解体事業のポテンシャルを十分に示唆しています。
【解体事業の取り組み結果】
カネックス様の解体事業は、短期間で大きな成果を上げています。具体的な取り組み結果を以下にまとめます。
●2023年8月から11月にかけての3ヶ月間で、合計見積獲得額6800万円を達成。
●初期投資500万円、増員0名という状況下で、これだけの成果を上げたことは、驚異的です。
●チラシ配布による反響に加え、Web販促を強化し、SEO対策、MEO対策、Web広告を開始する予定です。
●2023年11月には、Web広告からの問い合わせが2件あり、CPA(顧客獲得単価)は41,800円でした。
●解体事業専任の営業担当者がいないため、新たに営業人材を1名採用し、生産性向上を図る予定です。
●舗装工事業の元請強化も同時に進め、解体工事と舗装工事をセットで受注できるようにしていく方針です。
さいごに
カネックス様の解体事業参入事例は、異業種からの新規参入における成功モデルとして、非常に参考になります。特に、以下の点が重要です。
●既存事業とのシナジー効果を考慮した事業選択:アスファルト舗装事業と解体事業の親和性を活用。
●初期投資と人員を抑えた効率的な立ち上げ:少ないリソースで最大限の成果を出す。
●徹底したマーケティング戦略:チラシ配布による反響を計測、効果的なメニュー設定。
●Web販促の強化と営業人材の採用:今後の事業拡大を見据えた戦略。
●自社の強みを活かしたメニュー設定:舗装工事の強みを解体工事に組み合わせる。
本事例を参考に、解体事業への参入を検討されている経営者の皆様は、ぜひ、自社の強みを活かした戦略を立案し、事業の多角化に挑戦してください。
この記事を書いたコンサルタント

無料経営相談をご活用ください!
弊社の専門コンサルタントが貴社にご訪問、もしくはお客様に弊社までお越し頂き、現在の貴社の経営について無料でご相談いただけます。 無料経営相談は専門コンサルタントが担当させていただきますので、どのようなテーマでもご相談いただけます。